RolandのAIRAシリーズは実際に使ってみると良い機材が多いのですが、どうしてもあの「緑」のせいで短命に終わってしまった不運な楽器です。僕も過去にRolandの名リズムマシンのサウンドを収録したTR-8を所有していましたが、あの緑色のおかげで購入後もしばらく放置気味でした。
その後、TR-8の操作体系をディレクションした齋藤久師さんが現場で使っているのをみて、これは良いものだと気づき、現場でも使うようになりました。しかし、あの緑に耐えきれず、結局TR-8Sに乗り換えて売却。操作体系もシンプルで良い機材なのですが。

ただ、そのTR-8Sも見た目は良いのですが、そのワークフローにはやや不満があります。音作りするときも階層が深く、見ただけではツマミに何のパラメーターが割り当てられているか分かりません。ディスプレイもイマドキの機材にしては小型ですが、そもそもディスプレイ無しに操作できるのがTR-8の良いところでした。

Ableton Meetup TokyoのTB-303配信終了後に「実はTR-8の方が使いやすくね?」的な話しになり、中古価格もだいぶ安くなったのでTR-8を再購入しました。そして、今だからこそあの「緑」も黒くしてしまおう…というのが今回の記事です。

一応注意書きですが、この改造により保証や修理などサポートが受けられなくなる可能性があります。改造の失敗によるトラブルについては僕は一切の責任を持ちませんので、自信のない方は業者さんに依頼した方が良いかと思います。

改造方法を調べ、方針を立てる

同じ事をやろうとしている先駆者は当然いるもので、「TR-8 改造」とかでぐぐってみると、このサイトが真っ先に引っかかりました。
これも良いのですけど、中古でもう一台買えるくらいコストがかかるのと、自分としては実機の面影は残しておきたいところ。とりあえずこのサイトを参考に枠部分の緑を黒く塗り、他の部分はそのあと考えることにします。TinySymphonyさん、有益な情報ありがとうございます。

分解はそれほど難しくない

裏蓋はずしたところ

今回は基板など電子回路に関する部分には手をつけないので、難易度は比較的低めかと思います。
TR-8は本体の裏側から開帳していきますが、本体も軽く分解はそれほど難しくありません。TR-8を裏返しにして、裏蓋のネジを外して裏蓋を外します。
フロントパネルと基板を結合しているネジを外し、基板を下ろせばフロントパネルが外れます。基板をネジ止めする穴には矢印がついているので、組み上げるときも簡単という優しい設計です。
パネル裏側は思ったより発色の良い蛍光緑で覆われているので、これを黒く塗っていきましょう。

枠を黒くできればいいのだから、フロントパネルの裏は塗らなくていいのでは?と思う方もいるかもしれません。確かにそうかもしれませんが、本体内部のLEDが発光したときに、パネル裏側に光が反射して緑色が強調される可能性もあるので、今回は裏側も全部黒く塗っていきます。

今回使う塗料は、上のサイトでも紹介されているモデルガン用のつや消し黒スプレー。ちょっと高いので、予算を抑えたい方は定番のアサヒペンの黒でも良いのではないでしょうか。5-6回重ね塗りするので、ちょうど1本使い切るくらいの感じでした。上のサイトでは脱脂作業用にシリコンオフも使用しているようですが、今回は目に見える部分が小さいので中性洗剤で洗いました。

塗装で大事なのは下準備

塗装の前に、塗料がかかってはいけないところをビニールやマスキングテープで保護します。フロントパネルの表面は、枠を残してマスキングして、裏面はネジ穴とBPM等を表示するディスプレイの小窓にマスキングします。ネジ穴は埋まったら基板が取り付けられないし、ディスプレイの小窓を黒く塗ったら悲惨です。
フロントパネル表面の右上、SCATTERエフェクトの周りが緑色の線で囲まれていますが、ここを塗っても周りの黒と合わないので、オリジナルの面影を残すためにもそのまま残しておきます。
プラモデルやっている方には慣れた作業だと思いますが、塗装を綺麗に仕上げたい場合はこの下準備が大事だと感じました。

いざ塗装

下準備が終わったら塗装します。スプレーの説明書にあるとおり、5-6回重ね塗りしましたが、パネルの裏にそんな丁寧な塗装必要かとちょっと疑問には思いました。むしろ表をしっかり塗った方が良かった…。
フロントパネル表面の写真を撮り忘れてましたが、フロントパネルの表面の黒い天板と緑の枠の境目が塗りにくく、操作するときに目につきやすい箇所なので、塗り残しの無いようにしましょう。
塗料のスプレーはちょうど1本使い切りました。
塗装の下準備には時間をかけ、塗る作業自体はあっというまに終わります。燻製作るのと似ています。

完成

塗料が乾燥したらTR-8の基板を組み上げて完成。枠の色を変えるだけで精悍な印象になりました。電源を入れてない状態では見た目バッチリです。
ただ、今回は裏側に気合いを入れすぎて、肝心の表面の塗装がちょっと雑な感じ。写真で分かりづらいですが、若干はみ出して塗ったり、フチにも若干の塗り残しがありました。。。フチの塗り残しは目につきやすいので、ご注意ください。

今後の課題

見た目の変化に喜びつつ電源投入。LEDが点灯するとやっぱり緑が目立ちます。特に緑色のSTART/STOPボタンは大きく明るい上に点滅するので気になるところ。フェーダー部分の緑は、裏面を黒く塗ったことで少しおとなしくなり、人によってこれでOKかもしれません。
そのため、次の課題はSTART/STOPボタンとフェーダーのLED交換です。適合するLEDは1608というパッケージ(形状)で、1.6mm*0.8mmの小さなチップ。これを交換するので作業の難易度は上がりますが、基板を見るとチップが密集しているわけではないので、ハードコアというほどの難易度ではなさそうです。

上の参考記事にもありますが、注意点はLEDのVF値(電圧)。オリジナルの緑色に比べて白色のLEDはVF値が高いので、多用すると電圧不足で光らなくなるそうです。そのため、何色をどれくらいの数使うのか、また、同じ色でもVF値の低いLEDチップを選ぶのがキモになるでしょう。

余談ですが、白熱灯などの光はノイズなど不純物を含んでいるので目に優しく、LEDの光はそうした不純物を含んでいないのでギラついた感じに見えるそうです。なんだか音みたいですね。

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